肝疾患における診療体制
肝疾患における診療体制
肝炎検査で発見される肝炎の患者様は自覚症状に乏しく、多くはトランスアミナーゼ値等血液検査における肝機能の指標値も基準範囲内です。この場合、一見すると健常者のように思われがちですが、組織学的には肝炎が存在することもあり、場合によっては肝硬変や肝がんの合併がみられることもあります。
また、治療についても近年の進歩は目覚ましく、高いウイルス排除率が期待される時代となりました。ウイルスが排除された場合、肝がん合併率が明らかに低下することから、治療方法の選択も重要となっています。
このように、検査で発見された肝炎患者様を適切な医療に結びつけることが極めて重要でありますが、正確な病態の把握や治療方針の決定には、肝疾患に関する専門的な医療機関の関与が不可欠となります。
一方、患者様が安定した病態を示す場合や治療方針に大きな変化がない場合には、専門医と緊密な連携のもとで、かかりつけ医による診療を中心に行うことが望ましいと、都道府県における検診後肝疾患診療体制に関するガイドラインでいわれています。
肝炎治療
B型・C型ウイルス性肝炎の患者様が、インターフェロン治療、核酸アナログ製剤治療に係る医療費等の公費助成を受けるためには、県内に住所があり、県指定の専門医療機関でインターフェロン治療、核酸アナログ製剤治療を要すると診断され、県が認定することが必要です。なお、公費助成が受けられるのは、あらかじめ申請した指定医療機関等を受診した場合に限られます。
インターフェロン治療,核酸アナログ製剤治療は、肝臓専門医が実施することが望ましいとの観点から、医療機関等については、以下の要件を満たす医療機関等を指定することとしています。
肝炎治療指定医療機関等の要件
(1) 原則次のいずれかの条件を満たしており、申請により県が認めた医療機関とします。
ア 日本肝臓学会、日本消化器病学会の肝臓専門医が常勤し、抗ウイルス療法に精通し、かつその副作用等に対する処置及び治療中における肝がんの早期発見ができる専門医療機関
イ 肝疾患診療支援ネットワーク体制の専門医療機関の専門医が治療方針を立て、定期的な検査を行う患者に対し、専門医との緊密な連携のもと、治療を行う医療機関
ウ 肝炎治療を継続するために必要な副作用治療のみを行う医療機関(眼科、精神科、皮膚科など)
(2)薬局については、特に要件を設けていません。
(3)指定医療機関等は、県が指定した研修、講習会を受講するよう努めることになります。